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私たちは、一人で生まれてきて、死ぬときも一人です。しかし、生きていく中で一人きりで生きていくことはできません。親のサポートはもちろんですが、成長していく過程で大人や友人、先輩、同僚、恋人と様々なシーンで心も体も成長していきます。
多くの人と関わり合う中で、人の心は時々揺らいでしまいますし、弱ってしまう事もあります。周囲の言葉や影響を受けて生きている以上、誰にでもあることです。
そこで、周囲に何を言われようとも自分の気持ちに素直になり、まっすぐに前を向いて立ち上れる人もいますが、気持ちが沈んで立ち上がれなくなってしまい心の病になってしまう人もいます。心の病をこじらせてしまうと社会に馴染めない生活を送ることになってしまいます。現代の複雑な社会を生きる人にとって、他人ごとではありません。
ちょっと心が弱ってしまったとき、奮い立たせるためには、アイデンティティが確立されていなければなりません。このアイデンティティを養い、確立させるためにはどうしたらいいのか?まとめてみました。
アイデンティティって何?
アイデンティティとは、自分は一体何者なのだろうか?という意識です。この意識によって自分の心を支える事ができます。
そこで、自分の心を支えると言うと、「恋人が私の心の支えになってくれている」「母が私をサポートしてくれている」などと身近な人が自分を支えてくれていると思いがちです。
もちろん、応援してくれている、親身になってくれることには間違いありませんが、あなたの心にまで入り込めません。
自分の心の支えが人や物であってはいけません。自分自身の中に見つけなければならないのです。このアイデンティティがないために、心が混乱してしまう人は多いのです。
アイデンティティがないとは?
今の自分には、アイデンティティがあるのだろうか、それともないのだろうか?考えてみましょう。その前にアイデンティティがないとはどういう事か?について触れてみます。
自分は何者であるか?という意識が持てない状況を指しますし、周囲の人にも断言できない状況です。
一例
大学受験をして、試験に落ちてしまい浪人生活を送ることになったとします。そんな時、一気に気持ちが落ちてしまい、浪人生としての勉強にも身が入らなくなってしまいました。
浪人生として勉強もしていない、アルバイトなどの仕事もしていない、大学生でもない・・・。自分は今何をしているのか?何をする人なのか?
周囲にも堂々をした姿で「今は浪人生です。」という事も言えない・・・。世間から切り離されてしまったような気分、存在の薄さを実感してしまうものです。また、自分の言動に一貫性がない状況です。
このような状況はアイデンティティがないと言っていいでしょう。私は〇〇をしています!と堂々と言える状況にあってこそ、自分自身の力を出し切り頑張れるのです。
アイデンティティは社会的立場だけではない
アイデンティティは、職業や学生、母親、父親などのような社会的な立場だけではありません。例えば、会社を経営している社長、営業部長など立派な肩書まであったとしても、本人にとっては、それほど心の支えとなるに値しないこともあります。
社会的地位も自分が望んだ立場ではない、心の中では今の状況に満足できていないなどが理由として挙げられるでしょうか。
確かに、社会人になっても尚、心が弱りこじらせてうつ病になってしまうなど、患者さんは増える一方です。
そこで、心の支えとなり得るのが、宗教や故郷です。宗教をよりどころにするという点では、欧州、欧米などではキリスト教、中東ではイスラム教というのが最も分かりやすいのではないでしょうか。
私はイスラム教徒である、キリスト教徒であるという集団帰属意識がアイデンティティにもなります。私たち日本人の宗教観を考えてみると、大きな違いを実感します。独自の伝統があり文化がある日本です。世界からは興味深く注目していますし、評価も良いものです。私は日本人であるという事も、一つの誇りであり、アイデンティティです。
つまり、私は○○です!と定義できることが大切なのです。
社会的立場をアイデンティティにしすぎると・・・
私は製薬会社の営業部長をしています・・という方がいたとします。このように立派な社会的立場をアイデンティティにするのも良いです。しかし、自分自身の職業や肩書だけでは物足りないのです。なぜなら、定年で退職したらその社会的立場は消滅してしまうからです。
定年後の男性が急激に気力を無くしてしまったり、老け込んでしまったり、うつ病になったり・・というのは、職業をアイデンティティにしてきたことが原因でしょう。
また、私は母親です。このような家族の役割をアイデンティティにすることが多いのは、女性ではないでしょうか。母親である事が生活のほとんどで、子供が成人する20年間、母親業を頑張り続けます。
ところが、子供が成人し、自立してしまったとき、急に淋しさを感じたり何をしたらいいのか分からない・・・という喪失感に襲われてしまう女性は多いです。アイデンティティは一つにとどまらなくてもいいのではないでしょうか。
人は自由である
私たち人間は複雑な社会の中で生きていて、特に現代は情報のやり取りが盛んです。多くの情報に囲まれ、通りすがり、振り回され、窮屈に感じている人も多いのではないでしょうか。
アイデンティティを確立することはもちろん大切です。私は○○である。という揺るぎない自分、責任のある自分であることは理想ですが、縛られすぎてもいけないのです。
そもそも、私たち人間は自由に生きる権利があるのですから。アイデンティティだって人生の最後まで貫くことも自由ですし、投げ出すのも自由です。
自分は自由であるという事、気持ちがあってこそです。自由でありながらもアイデンティティという名の尊厳さえあれば怖いものなしです。
この尊厳がないと周囲の情報や批判、過去の失敗、他人の評価に振り回されてしまいますよ。自分の人生なのに、振り回されている場合ではありません。
自分の足で立ちましょう。
アイデンティティを養うにはどうしたらいいの?
アイデンティディを確立していくためには、幼少の頃からの親との関わりも深く関係してきます。そもそも私たち人間は自由であるという根源があるというお話をしましたが、今の子供たちは幼少の頃から自由は奪われるばかりの現代です。
親の干渉、多すぎる習い事、外遊びの制限など事件事故が多い昨今ですから、致し方ない地域もあるかもしれませんが、子供の遊びは制限される一方です。子供は自由に遊ぶことで、考え、学び、体験し、友達関係を築いてお互いを認め合う事で自己確立していきます。
もちろん遊びに限定されません。あらゆる活動や学びなどの活動によって、自分自身を見つける事ができるのです。幼少~学童期~青年期という長い時間をかけて自分探しをしますが、自分探しはここで終了させる必要はありません。
大人になっても新しい自分を発見するために、好奇心を持ち続けましょう。そして、あなた自身が積極的に行動し続けましょう。30才、40才を過ぎてしまったから、今からでは無理・・・そうやって自分の可能性をつぶしている人が多いのです。
ある調査で仕事を引退した高齢者へのアンケートが興味深いですよ。「今までの人生で後悔していることは何ですか?」という質問をすると、約7割の人がほぼ同じ回答なのだそうです。
それは・・・
「チャレンジをしようとしなかったこと、挑戦をしなかったこと」
この回答から推測できるのは・・・
・やりたいことがあったけど不安だから安全な橋を渡ることにした
・周囲の意見や評判を気にしてチャレンジしなかった
・親に反対されて飲み込んだ
自分をみつけ(アイデンティテイを確立して)自分を貫くことの難しさ、強い意志を持つことの大変さを思い知りますね。さて、あなたはどうする?